誠を以て売り買いをする、真実の時代が来る

『かみが変るで、かみが変るで』

 

傍々の方々は、その神意が解されなかった。皆でその神意を把握しようと、いろいろと研究された。ただ、「神様は妙な事を申される。」、皆の気持ちは、この雄大なる神言に蔵されるべき、新たなる世界が想像だもつかなかった。

数日後、或る先生が、神様にその意味をお伺いせられた。

「かみがみだれるとは、  一体どういうことで御座りますか。」と。

 

教祖はにこやかにお笑いになって、諄々とその神意をお話になった。

 

 

『かみが乱れるとは、 お上(徳川幕府)が乱れ、 政治が変るのや。頭髪(かみ)もすっかりと変るのや。武士も町民も、非人乞食も同じ様になるのや。そうしたら、 金の時代になるのやで。金でどんなものでも 売り買い出来る様になる。この時代は、それはそれは華々しい麗しい時代やで。金で物言う時代、世の中がすっきりと異なって来る。どんな者でも金さえあれば、どんな生活も出来る様になって、みんながみんな金々というであろう。なれどそれは間違いやで、長続きはしない。美しいあだ花の様なものや。すぐに散ってしまう、枯れてしまうで。すぐこの時代は行き詰ってしまう。

 そうしたら、その次に来るのが、まことを以て売り買いをする、真実の時代が来るのやで。これが、神の待ちに待った時代である。この時代が来なければ、人間は本当に極楽の生活は出来ないのである。』

こういう意味の事を、よく分かる様にお語りになって、『はやく助けをいそぐのや』と仰せられた、という事である。      


伊蔵さん、この道は陰徳を積みなされや。人の見ている目先でどのように働いても、勉強しても、 陰で手を抜いたり、人の悪口を言うていては、神様のお受取りはありませんで。

ある日の事、御教祖は傍々の人に向かって、こう申された。教祖は常に、

 

伊蔵さん、この道は陰徳を積みなされや。人の見ている目先でどのように働いても、勉強しても、 陰で手を抜いたり、人の悪口を言うていては、神様のお受取りはありませんで。何でも人様に礼を受けるようなことでは、それでその徳が勘定済になるのやでほしい、おしい、かわい、にくい、うらみ、はらだち、よく、こうまん、この八つの心は埃であって、この埃の心が病いの元となりますのや。』

 

と仰せになって、陰徳の尊いことをお諭しになったので、伊蔵は毎夜々々お屋敷からの帰途、人知れず壊れた橋を繕ったり、悪い道を直したりして、教祖の御教えの旨を実行したのであった。そして、神の取次人・天啓者である神・中山みきの後継人となった。